人間の脳がデジタル化

ブレイン・マシン・インターフェースの例

アメリカの発明家であり、未来学者のレイ・カーツワイルは「シンギュラリティ」について述べた著書のなかで、人間の脳のデジタル化ということについても言及しています。

人間の脳をデジタル化する、というのは、一体どのようなことなのでしょうか。

たとえば、ブレイン・マシン・インターフェースと呼ばれる分野の研究では「蝸牛インプラント」という方法が話題となっています。
インプラントというと、歯科医院などで使われる技法のようですが、蝸牛インプラントは耳鼻科領域で行われる医学的治療になります。

蝸牛インプラントは脳の蝸牛神経に、蝸牛神経の代わりとなる人工内耳を埋め込むという治療です。現在の蝸牛インプラント(=人工内耳)は、受信コイルやIC回路といった電気パーツで作られています。

実際に蝸牛インプラントを使用する場合には、それらのパーツを体内に埋め込まなければなりませんが、一度埋め込んでしまえば補聴器のようにいちいち取り外す必要はありませんし、補聴器では対応しきれなかった高度難聴の症状にも効果があります。

このような蝸牛インプラントの技術などは、人間の聴覚機能の一部を最先端のデジタル機器で代用するだけにすぎませんが、人間の脳のデジタル化の可能性のひとつとして考えることができます。

ブレイン・マシン・インターフェースの分野では、蝸牛インプラントの応用となる脳梗塞や脊椎損傷などによる神経系障害の治療も期待されています。

神経シグナルのデジタル化

また、米カリフォルニア大学バークレー校のホセ・カルメナ氏とマイケル・マハービズ氏による脳の神経シグナル記録装置は、コンピューターで解析することによって義肢を操ったりすることができるといいます。

この技術もまた、脳の運動野から出される一部の神経シグナルを解析するだけにすぎませんが、神経シグナルをデジタル化して記録するという意味では、人間の脳をデジタル化しているといえるでしょう。

現代の科学技術のレベルでは、このように脳の一部をデジタル化することが精一杯ですが、もしも完全に人間の脳をスキャンしてデジタル化するようなことができれば、それこそはまさにシンギュラリティの始まりなのです。